「止まる」を楽しむ
仮免を取得して路上教習に出た生徒さんの多くが「黄色の信号になっても交差点に進入する車が多いことに驚いた。」との感想を口にされます。
黄色信号の意味は、「例外(安全に停止できない場合)を除いて、『止まれ』である。」と学科教習で学んだ生徒さんにとってはルール無視のドライバーが多いことに驚かれて当然でしょう。
実際、前方の信号が黄色に変わった時に十分に停止できる距離であるにもかかわらず、逆にスピードをあげて交差点に進入する車両さえあります。
以前に読んだ運転時の行動心理を解説する書籍の中に、上記のような運転をするドライバーには、急ぐ気持ちの他、
- 止まるのが面倒くさい
- (通過できるかどうかの)スリルを味わいたい
- (前方の右折車両等)を待機させることで、優越感を得られる
等いずれも身勝手で大きな事故につながる危険性ある潜在的な心理があり、このような潜在的な心理は誰しも大小の差あれ有しており体調や周囲の状況からその潜在的心理が衝動的に発動するとの指摘があり、それが発現しないように自己制御するには、「止まること、信号待ちすることを楽しむこと」が有益な手段だと述べていました。
ではどのようにしてそのような潜在的心理を発現させないような具体的方法を考えていたところ、先日、知人と会食した際、有益な話を聞きました。
同知人(以下、A氏とします。)は、「そのような危険心理が行動にでないための良い方策は、まさにうちの嫁さんが実践している。」と笑いながら話した内容を紹介します。
A氏夫妻の将来の夢は、退職後に万里の長城に行き、雄大な景色の中で昼寝をする(万里の長城に昼寝できる場所あるかは疑問ですが(笑))こと。
そのための準備として日常会話くらいはと1年ほど前から夫婦揃って中国語の勉強を始め、音声教材とその内容の日中対訳のテキストをダウンロードして活用している。
A氏の会社は自宅付近所在、通勤所要時間は徒歩5分ほどであるが、奥さんは車で片道30分の通勤、「この時間を語学学習に役立てねば損」として通勤中の車内でも中国語学習を実施。走行中は音声教材を聞き流し、信号停車中は、音声を止め、分からなかった部分を助手席上に於いてテキスト(大きめフォントで印字)で確認したり、聞き流していた例文を暗唱したするとのこと。
中国語学習を始めるまでは、車での通勤時間を億劫で煩わしいものであると感じていた奥さんは、学習を始めてからは通勤時間こそが語学学習に有益なものと感じ、確認や暗唱の機会が増える信号停車でイライラするどろこか、「信号待ちが待ち遠しい。」との気持ちになったとのこと。
まさに「停止することを楽しむ」ことの好事例であり、参考になり、この話を聞いた以降、
私は、通勤の車中では走行中は、柄にもなくクラッシック音楽を聴きながら本コラムの次回原稿の構想を練り、信号停車中には音声操作でスマホのボイスレコーダーを作動して思いついた内容を録音しております(気の利いた文書になるかは、はなはだ疑問ですが(笑))
皆さんも法令に反せず、運転に支障を及ぼさず、かつ周囲への配慮を欠くことのない方法で「止まることの喜び」を見つけて下さい。
なお、A氏夫妻の中国語会話能力に関しては{嫁さんのほうが、飛び抜けて上達している。}とのA氏の言葉を付言しておきます(笑)。
コラム ishide